高血圧の薬とサプリメントの危険な相互作用【薬剤師が解説】
2024.10.07
2024.11.12

代表的な疾患の1つである高血圧。
塩分の多い食事や、睡眠不足・運動不足などの生活習慣が原因となるイメージをお持ちの方も多いでしょう。
しかし、気温や気圧の影響を受けたり、遺伝や体質が影響したりと、実は直接の原因がわかりにくい病気です。
そんな高血圧の治療には、多くの種類・作用メカニズムの薬(降圧薬)が使われています。
治療の選択肢が豊富にある一方で、サプリメントとの相性が良くない薬もあるので注意が必要です。
今回は、そんな高血圧の薬とサプリメントの飲み合わせについてご紹介します。
高血圧の薬とサプリメントの飲み合わせの基本

なぜ飲み合わせに注意が必要なのか?
高血圧薬とサプリメントの飲み合わせに注意が必要な理由。
それは、飲み合わせ次第では以下のような危険性があるためです。
- 血圧降下作用を高める
- 血圧降下作用を弱める
- 薬の副作用リスクが上がる
- サプリメントによる体調変化が生じる
「サプリメントは薬じゃないのに飲み合わせなんてあるの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
サプリメントは一般的に食品として分類されますが、私達が普段食べている食品の中にも、薬との飲み合わせが悪いものはあります。
よく知られているのがグレープフルーツで、多くの薬で分解に関わっている代謝酵素を阻害し、薬の効果を強めてしまうことが知られています。
サプリメントは「特定の成分を意図的に多く含んでいる食品」とも言えますので、通常の食品以上に注意が必要です。
降圧薬の種類と作用メカニズム
そもそも、高血圧の薬にはどのような種類があるのでしょうか?
以下に、代表的な降圧薬の分類をご紹介します。
ACE阻害薬
血圧を上昇させるアンジオテンシンIIという物質があり、これを作る酵素を抑制します。
- 医薬品の一例
- レニベース®
- タナトリル®
- ロンゲス®
- コバシル®
- 〜プリルという名前の薬 など
ARB
アンジオテンシンIIの働きを阻害することで、血圧の上昇を抑えます。
- 医薬品の一例
- ニューロタン®
- ブロプレス®
- ディオバン®
- オルメテック®
- ミカルディス®
- イルベタン®
- アバプロ®
- 〜サルタンという名前の薬 など
カルシウム拮抗薬
細胞内のカルシウム濃度を減少させ、血管平滑筋の収縮を抑制することで血圧を下げます。
- 医薬品の一例
- アムロジン®
- ノルバスク®
- アテレック®
- カルブロック®
- アダラート®
- コニール®
- 〜ジピンという名前の薬 など
利尿薬
尿量を増加させることで、塩分排泄を促し、血圧を下げる効果があります。
- 医薬品の一例
- ラシックス®
- ルプラック®
- ダイアート®
- アルダクトン®
- セララ®
- フルイトラン®
- 〜セミドという名前の薬
- 〜チアジドという名前の薬 など
βブロッカー
心臓の拍動を抑制し、血圧を下げます。
- 医薬品の一例
- テノーミン®
- セレクトール®
- メインテート®
- アーチスト®
- アテノロール
- セリプロロール
- ビソプロロール
- カルベジロール など
これらの降圧薬の中から、症状や体質に合わせて医師が診断し処方されます。
なお、上記は降圧薬の一例であり、紹介しきれていない薬も多くあります。
薬をお飲みの方は、ぜひ医師や薬剤師に相談してみてくださいね。
高血圧の薬と飲み合わせに注意すべきサプリメント成分
以下に、飲み合わせに注意が必要なサプリメント成分を挙げます。
体質や摂取量によっては副作用や相互作用が起こる可能性もあるため、注意が必要です。
どの降圧薬とも飲み合わせに注意が必要
アルギニン | 血管を拡張して血圧を下げる働きがあるため、血圧が過剰に低下する可能性があります |
エゾウコギ | 高血圧の方は使用しないよう、ドイツの薬用植物の評価委員会が注意喚起しているという情報があります これに対し、異議を唱えている論文もあります(1)が、現時点では避けた方が無難でしょう |
オリーブ | 血圧を下げる作用があるため、血圧が過剰に低下する可能性があります |
カンゾウ(甘草、リコリス) | 血圧上昇を起こし、薬の効果を弱めてしまうリスクがあります |
キャッツクロー | 血管を拡張し血圧を下げる作用があり、血圧が過剰に低下する可能性があります |
ギャバ(GABA) | 血圧を下げる作用があるため、血圧が過剰に低下する可能性があります |
ケルセチン | 血圧を下げる作用があるため、血圧が過剰に低下する可能性があります |
コエンザイムQ10(CoQ10) | 血管拡張を助け血圧を下げる作用があるため、血圧が過剰に低下する可能性があります |
ごま | 血圧を下げる作用があるため、血圧が過剰に低下する可能性があります |
シトルリン | 血管を拡張し血圧を下げる作用があり、血圧が過剰に低下する可能性があります |
チアシード | 血圧を下げる作用があるため、血圧が過剰に低下する可能性があります |
デビルズクロー | 血圧を下げる作用があるため、血圧が過剰に低下する可能性があります |
杜仲 | 血管を拡張し血圧を下げる作用があり、血圧が過剰に低下する可能性があります |
フランス海岸松樹皮エキス | 抗酸化作用や血小板の凝集を抑える作用によって、血圧が過剰に低下する可能性があります |
Na(ナトリウム) | 血圧を上げる作用があるため、薬の効果を弱めるリスクがあります。 |
Mg(マグネシウム) | 血圧を下げる作用があるため、血圧が過剰に低下する可能性があります |
ω-3系不飽和脂肪酸(EPA、DHAなど) | 血圧に関わる物質に作用して血圧を下げる働きがあります。降圧薬と一緒に摂取している場合、過剰な血圧低下に注意が必要です |
ACE阻害薬との飲み合わせに注意が必要
杜仲 | カリウムを多く含むため、カリウムの値が上昇する可能性があります |
ノニ | ACE阻害薬と同じ働きを持つため、薬の効果を強めてしまうリスクがあります カリウムを多く含むため、カリウムの値が上昇する可能性があります |
ラクトトリペプチド | ACE阻害薬と同じ働きを持つため、薬の効果を強めてしまうリスクがあります |
K(カリウム) | 併用するとカリウムの値が上昇する可能性があります |
ARBとの飲み合わせに注意が必要
杜仲 | カリウムを多く含むため、カリウムの値が上昇する可能性があります |
ノニ | カリウムを多く含むため、カリウムの値が上昇する可能性があります |
K(カリウム) | 併用するとカリウムの値が上昇する可能性があります |
カルシウム拮抗薬との飲み合わせに注意が必要
生姜 | 過度な血圧低下や不整脈、血が止まりにくくなる等の症状が現れる可能性があります |
セントジョーンズワート | 薬の分解に関わっている代謝酵素を増やし、薬の効果を弱めてしまう危険性があります また、血圧だけでなく多くの薬の分解に関わるので、薬を飲んでいる場合は摂取を避けましょう もし薬とセントジョーンズワートを併用中の場合は、中止する前に必ず医師や薬剤師に相談してください |
ビタミンC | 一部の薬がビタミンCの効果を弱める可能性があります |
ビタミンE | ビタミンEサプリメントはカルシウム拮抗薬の効果を低下させ、血圧を上昇させる可能性があります |
Mg(マグネシウム) | カルシウムが平滑筋細胞に流入するのを阻害し、血圧を下げる効果があるため、血圧が過剰に低下する可能性があります |
Ca(カルシウム) | 薬の効果を弱めてしまう可能性があります |
利尿薬との飲み合わせに注意が必要
アルギニン | 一部の利尿薬との併用で、カリウムの値が上昇する可能性があります |
アロエ | 一部の利尿薬との併用で、カリウムの値が低下する可能性があります |
カフェイン | カフェインサプリメントの摂取は利尿剤の効果を増強し、血圧低下作用を強める可能性があります 高血圧薬とカフェインを含むサプリメントを併用すると、血圧上昇のリスクが高まることがあるため、摂取に注意が必要です |
カンゾウ(甘草、リコリス) | 一部の利尿薬との併用で、カリウムの値が低下する可能性があります |
杜仲 | カリウムを多く含むため、一部の利尿薬との併用で、カリウムの値が上昇する可能性があります |
ノニ | カリウムを多く含むため、一部の利尿薬との併用で、カリウムの値が上昇する可能性があります |
ラクトトリペプチド | 一部の利尿薬との併用で、カリウムの値が上昇する可能性があります |
K(カリウム) | 一部の利尿薬との併用で、カリウムの値が上昇する可能性があります |
Ca(カルシウム) | 一部の利尿薬は体外へのカルシウム排泄を減少させる効果があるため、併用するとカルシウムの値が上昇する可能性があります |
今服用している高血圧の薬やサプリメントがあれば、該当していないか確認してみてください。
ただし、該当していてもすぐ服用をやめる必要があるとは限りません。
身体に必要な成分のバランスが上手く整っている場合、そのまま様子を見たほうがいい場合もあります。
もし該当している方は、まずは一度かかりつけの医師や薬剤師に相談してみましょう。
正しくサプリメントを使用するために

サプリメント使用の注意点
サプリメントを利用する際は、次のようなことに注意する必要があります。
- 摂取量や使用方法を正しく守る
- 医薬品との併用に注意する
- 品質や安全性が担保された製品を選ぶ
サプリメントの種類によっては、効果を実感するまでに時間がかかる場合もあります。
長期間の摂取が推奨される場合でも、適切な使用方法や期間を守るようにすることが大切です。
信頼性の高いサプリメントの見極め方
信頼性の高いサプリメントを見極めるためには、以下のポイントに注意しましょう。
- 原材料や成分表示が明確
- 食品アレルギーがある方は特に注意が必要です。
- 効果が科学的根拠に基づいている
- 機能性表示食品であれば、事業者が科学的根拠を消費者庁へ提出しています。
- 適切な品質管理が行われている
- GMP認定工場で作られている製品が望ましいです。
これらのポイントを確認し、安全性や信頼性が高いサプリメントを選ぶことが大切です。
まとめ
今回は、高血圧薬とサプリメントの飲み合わせについて解説しました。
血圧が高めの方は飲み合わせに注意していただき、もしも使用中のサプリメントが該当していた際は必ずかかりつけの病院・クリニックや薬局に確認しましょう。
紹介した飲み合わせの中にはなくとも、サプリメント使用中の方は医師や薬剤師にぜひ一度相談してくださいね。
上手にサプリメントを活用して、健康的な毎日をお過ごしください!
参考文献

兵庫県在住の薬剤師/MSA(メディカルサプリメントアドバイザー)。大手企業で医薬品開発を経験後、調剤薬局業界へ転職。在宅医療をはじめ、さまざまな診療科の薬局での勤務経験を持ち、現在は透析門前薬局の薬局長を務めています。「誰もが簡単にサプリメントの正しい情報にアクセスできるように」との思いから、当サイト【サプメディア】を開設しました。サプリメントの選び方や薬との飲み合わせに関する一般的な疑問から、医療従事者向けの専門情報まで幅広く解説しています。